障害補償年金前払一時金・時効と支給額、支給停止とは?
労災保険の『障害補償年金前払一時金』とは、『障害補償年金』の受給権者が、最高限度額の範囲内で希望するまとまった金額の支給を前もって受けられる制度です。
請求期限があり、デメリットもあるので、あらかじめ理解しておく必要があります。
労災保険・障害補償給付とは?
仕事中・通勤中のケガや病気が治った場合で、障害が残ると『障害補償給付』の支給を受けられますが、その中で1級から7級は年金として年6回に分けて支給されます。
しかし、障害を負った生活をスタートする上で、何かと物入りです。
十分な貯えがあれば問題ないでしょうが、そうでない方は、必要な物が購入できないといった事態になりかねません。
そこで、労災保険では、『障害補償年金』の受給権者が請求すれば、本来は年金である保険給付をまとまった一時金として受給できるようになっているのです。
請求理由は問われないので、『障害補償年金』の受給権者なら誰でもを請求できます。
業務災害が『障害補償年金前払一時金』で、通勤災害が『障害年金前払一時金』です。
障害補償年金前払一時金の支給額
『障害補償年金前払一時金』の支給額は、障害等級に応じて、次の額から選べます。
支給額は、給付基礎日額の何日分という形です。
第1級 | 200日分、400日分、600日分、800日分、1000日分、1200日分、1340日分 |
---|---|
第2級 | 200日分、400日分、600日分、800日分、1000日分、1190日分 |
第3級 | 200日分、400日分、600日分、800日分、1000日分、1050日分 |
第4級 | 200日分、400日分、600日分、800日分、920日分 |
第5級 | 200日分、400日分、600日分、790日分 |
第6級 | 200日分、400日分、600日分、670日分 |
第7級 | 200日分、400日分、560日分 |
給付基礎日額の計算方法
怪我をし、病気に罹ったことが確定した日以前3ヶ月間の
賃金の総額 / 総日数 = 給付基礎日額
ただし、賃金総額と総日数から控除する賃金・期間があります。
障害補償年金前払一時金の時効と手続き・請求期限
『障害補償年金前払一時金』の時効は、当該傷病が治った日の翌日から2年です。
請求は1回のみしか行えず、『障害補償年金』の請求と同時に行わなければなりません。
ただし、『障害補償年金』の支給決定の通知があった日の翌日から起算して1年を経過する日までの間は、『障害補償年金』の請求の後でも『障害補償年金前払一時金』の請求をすることが可能です。
例えば、最初はまとまったお金を必要としていませんでしたが、少し経ってからお金が必要になった場合に、一時金の支給を受けられるということです。
障害補償年金前払一時金の支給停止
『障害補償年金前払一時金』は、今後支給される年金の一部を、前もって一時金として受ける制度です。
当然、前払いされた金額に達するまで、本来支給される年金は支給停止されます。
しかし、それだけではなく、1年経過後からは年5分の単利で割り引いた額が利子として必要です。
したがって、『障害補償年金前払一時金』の支給を受けると、利子の分だけ長く支給停止されるというデメリットがあります。
さらに、『障害補償年金前払一時金』による支給停止期間中は、次の給付を受けられないというデメリットもあるので、しっかり確認しておきましょう。
- 20歳前の傷病による障害基礎年金
- 旧国民年金法の規定による老齢福祉年金等
- 児童扶養手当等
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