同一労働同一賃金への日本の取り組み
2016年6月2日、安倍内閣によって、「同一労働同一賃金」が『ニッポン一億総活躍プラン』に盛り込まれて閣議決定されました。
同一労働同一賃金とは、正社員・派遣労働者・アルバイト・パートなどの雇用形態の違いにかかわらず、同じ仕事もしくは同等の仕事ならば同じ賃金にする、という考え方です。
そして、ニッポン一億総活躍プランとは、少子高齢化に歯止めをかけ、人口1億人を維持するための計画です。
この同一労働同一賃金は、ヨーロッパで普及した考え方ですが、今後は日本でも同一労働同一賃金の考え方が一般的になっていくでしょう。
同一労働同一賃金が日本に取り入れられた理由
従来の日本の賃金制度は「職能型」であり、能力によって賃金が決められることになっていますが、実際には「年功序列型」で年齢や勤続年数が高いほど賃金が高くなるようになっています。
今まではこれで問題なかったわけですが、非正規雇用が増加したことにより事情が変わりました。
今や、全労働者の4割が非正規雇用なのですが、賃金は正規雇用の6割弱という大きな問題があるのです。
そもそも、同じ仕事をしているのに正社員とそれ以外の労働者で賃金が異なること自体がおかしいですし、実際の職場では非正規労働者が使い捨てとして正社員よりも厳しい仕事を強いられていることも多々あります。
政府は、生活レベルの違いや老後の生活、子供の出産など様々な面に大きな影響を及ぼしかねないこの状況に対応するため、「同一労働同一賃金」を取り入れ、正社員とその他の労働者の賃金格差をなくそうとしているのです。
同一労働同一賃金へのいばらの道
政府が法律で同一労働同一賃金を定めたとしても、実際にはそう簡単ではありません。
なぜならば、全労働者の賃金を同じ水準にしようとして正社員の賃金を下げることは認められず、そうなると非正規雇用の賃金をアップするしか方法がないからです。
企業として使える人件費は限られているので、必然的に労働者数を削減しようという流れになってしまいます。
また、ヨーロッパでも非正規雇用の賃金は正規雇用の賃金の8割程度であり、日本政府が目指すのもこの程度です。
したがって、同一労働同一賃金と言っても、結局は賃金の差を完全には埋められないでしょう。
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