介護休業の取得条件緩和で休みやすくなる
現在の日本は、少子高齢化と長寿の影響で、介護の問題が生じています。
今でも、介護のために仕事を辞める介護離職者が増えており、「仕事ができないので収入がなくなる」「貯金を切り崩して生活しなければならない」「再就職先を見つけることが難しい」「精神的に辛い」といった困難な状況に陥るのです。
もちろん、仕事を辞めずに介護できるようにするため、1995年から育児介護休業法が施行されているのですが、今までは取得条件が厳しくて介護休業を取得できない人が多くいました。
しかし、今回、法改正されて、2017年1月から介護休業を取得しやすくなります。
さらに、それに先立ち、2016年8月からは介護休業給付金が賃金月額の40%から67%にアップします。
介護休業の対象となる家族
介護休業は、次に挙げる家族が要介護状態(2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある場合で、労働者がその家族の介護のために取得する休業です。
配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母
祖父母、兄弟姉妹、孫
要介護は1から5の5段階に分かれており、数字が大きくなるほど深刻なのですが、今までは要介護2~3なければ介護休業を取得できませんでした。
しかし、法改正で要介護1~2に改められることで、より多くの人が介護休業を取得できるようになり、介護離職者が減ります。
介護休業を取得できる労働者の条件
介護休業は、介護する家族の条件に加え、労働者自身も次の条件を満たさなければなりません。
- 労働者(日雇労働者を除く)
- 雇用期間が1年未満の労働者
- 93日以内に雇用期間が終了する労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
- 有期契約労働者
上記の2、3、4の者については、労使協定の締結が必要です。
上記の5の者については、雇用期間が1年以上で、介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる必要があります。
介護休業給付金93日では足りない
政府は、介護休業を所得しやすくすることで、2025年までに介護離職者ゼロを目指しています。
しかし、介護休業は対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに1回であり、通算93日までしか支給されません。
家族の介護といっても問題になっているのは親の介護であり、加齢によって必要となる介護のため、一定の給付金をもらって93日間休んでも、ただ問題の解決を先延ばしにしているだけです。
実際、「介護休業給付金93日分では足りない」との声も多く、親の介護は長期に及ぶため、いずれは介護離職という問題にぶつかってしまうでしょう。
介護離職者ゼロへの道は、かなり険しいと言わざるを得ません。
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