失業保険の受給資格は『失業の定義』と『雇用保険被保険者期間』が重要
世間一般で使われる『失業保険』『失業手当』は、雇用保険の一般被保険者が失業した時にもらえる『基本手当』を指しています。
この失業保険は、失業で収入がなくなって生活が困窮し、次の仕事探しどころではなくなることを防ぐために支給される給付ですが、実際に会社を辞めた時に自分が受け取れるか否か理解している人は少ないでしょう。
簡単に説明すると、失業保険の受給資格を得るには、『失業の定義を満たしていること』と『雇用保険の被保険者期間が一定期間以上あること』が必要です。
では、次にそれぞれの条件について詳しく説明いたします。
失業保険の受給資格1 「失業の定義」
「失業・退職・辞職・無職」などは、仕事を辞める、もしくは、辞めていることを意味します。
しかし、失業については、雇用保険法4条2項・3項で、「失業とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態」と定められています。
これを「失業の定義」と言い、次のとおり、通常の意味よりも細かく定められているので注意してください。
- 雇用保険の被保険者が会社を辞めたこと
- 再就職に向けて働く意欲と行動が必要で、働けないくらいのケガや病気を負っていないこと
- それでも再就職できないこと
失業保険は、次の仕事を見つけるまでの生活費として支給されるものなので、失業保険の受給資格を満たすには、この3つの条件が不可欠となっています。
失業保険の受給資格2 「雇用保険の被保険者期間」
失業保険の受給資格を満たすには、雇用保険の被保険者期間が一定期間以上なければなりません。
ここでの被保険者期間は一般被保険者のことで、日雇い労働者や短期の雇用に就いていた方は別なので注意してください。
たいていの会社は雇用保険の適用事業所になっていますが、よくわからないという方は、給料明細を見ると雇用保険料が天引きされているはずなので、それで確認しましょう。
失業保険の支給を受けるためには、離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上必要です。
この「離職の日以前2年間」のことを算定対象期間と言いますが、倒産や解雇等により再就職の準備ができなかった特定受給資格者や、契約更新されなかったりその他やむを得ない理由により離職した特定理由離職者については、「離職の日以前1年間に、被保険者期間が6ヶ月以上」と条件が少し緩和されています。
また、次の6つの理由により、30日以上賃金を受けなかった場合も、その期間を2年に加算することになりますが、その場合でも4年が限度となります。
- 疾病、負傷(業務上・外を問わない)
- 事業所の休業(事業主に責任のある休業を除く)
- 出産
- 国と民間企業との間の人事交流に関する法律の規定に該当する交流採用
- 事業主の指示による外国での勤務
- 公共職業安定所長がやむを得ないと認めるもの
例えば、離職日以前2年以内に病気で1年間休んで給料を受けていなかった場合は、離職日以前3年間が算定対象期間になるのです。
なお、被保険者期間の数え方は少し独特で、離職日からさかのぼって1ヶ月ごとに区切り、その期間の賃金支払基礎日数の数で判断します。
詳しくは、次のリストをご覧ください。
- 期間1ヶ月・賃金支払基礎日数11日以上であれば1ヶ月
- 期間1ヶ月・賃金支払基礎日数11日未満であれば0ヶ月
- 期間15日以上1ヶ月未満・賃金支払基礎日数11日以上であれば1/2ヶ月
- 期間15日以上1ヶ月未満・賃金支払基礎日数11日未満であれば0ヶ月
- 期間15日未満であれば0ヶ月
法律上はこのように面倒な計算となりますが、普通は週5日勤務が多いので、ほとんどの月は1ヶ月で計算し、一番遡った古い月のみ、上記のような数え方をすると理解すれば良いでしょう。
このように、計算した被保険者期間が離職日以前2年間に12ヶ月以上あった場合に、失業保険の受給資格を満たすことになります。
なお、以前に失業保険の対象となった期間と離職日以前2年以上前の被保険者期間は含みません。
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