『鬼滅の刃』の毛筆フォント書家・坂口綱紀と会社『昭和書体』
2021年4月5日放送のNHK総合1『逆転人生』のゲストは、毛筆フォントの第一人者である坂口綱紀(さかぐちつなのり)さん、坂口茂樹(さかぐちしげき)さん、坂口太樹(さかぐちたいき)さんの親子3代です。
書体は複数あり、パソコンで使われるフォントになると日本語だけでも数万種類はあるとされています。
使うフォントによってイメージに大きな影響を与えるため、デザイナーはフォント選びにも気を抜けません。
そんな中、注目を浴びているのが、毛筆フォントの第一人者である坂口綱紀さんとその会社『昭和書体』で、テレビ番組やウェブサイト、商品など、あらゆる場所で使われているので、皆さんも知らず知らずのうちに見ていることでしょう。
最近では、人気漫画・アニメ『鬼滅の刃』でも坂口綱紀さんの毛筆フォントが使われて話題となりました。
坂口綱紀さんと毛筆フォント制作・販売会社『昭和書体』に迫ります。
坂口親子3代と毛筆フォント制作・販売会社『昭和書体』
綱紀栄泉こと坂口綱紀さんは、鹿児島県薩摩郡さつま町で小さな看板屋を始めました。
絵を学んだことはあったものの、習字・書道を習ったことはなく、お世辞にも字は上手くありませんでしたが、電柱の鉄板に書いてある看板文字に半紙を当てて型を取り、それを見本に独学で書道を極めたそうです。
その後、息子の坂口茂樹さんが2代目になると、ある日、知り合いの資材屋の人に「すごい文字だからフォント化して残したほうがいい」と勧められます。
当時はバブル崩壊で看板の仕事が激減して廃業していく看板屋も多く、坂口綱紀さんも高齢になって思い通りの文字を書けなくなりつつあり、また、2代目の坂口茂樹さんに父親のような書道の才能はありませんでした。
そこで、思い切って毛筆フォントに経営を託すことにしたのです。
最初は全く売れませんでしたが、コーエー(コーエーテクモゲームス)に使用されたことで一気に人気になります。
この成功をきっかけに、2006年に毛筆フォント制作会社『コーエーサインワークス』を設立し、2013年に『株式会社 昭和書体』に社名変更しました。
フォント化するには1書体につき7,000文字必要とされていますが、坂口綱紀さんは60種類以上の毛筆フォントを制作しているので、単純計算で42万文字書いたことになります。
現在は、坂口綱紀さんが文字を書き、息子で取締役会長の坂口茂樹さんがフォントのデータ制作を担当し、孫で代表取締役の坂口太樹さんが営業を担当しているそうで、女流書家の恵彩院花梢さんも『昭和書体』で活躍中です。
『鬼滅の刃』で使われた毛筆フォント
『鬼滅の刃』の「柱合会議」で、柱の名前紹介の文字に、次の3つの毛筆フォントが使われています。
- 闘龍書体(闘争心に溢れ、力があり余った若い龍が、空を舞うさまをイメージ)
- 陽炎書体(ゆらゆらと地を這う陽炎をイメージ)
- 黒龍書体(牡の龍が暗雲立ち込める空を荒々しく漂うさまをイメージ)
ちなみに、『銀魂』にも同じフォントが使用されています。
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