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障害補償年金差額一時金・遺族の順位と欠格、転給は?


遺族

労災保険の『障害補償年金差額一時金』とは、『障害補償年金』の受給権者が亡くなった場合において、今までに支給された『障害補償年金』と『障害補償年金前払一時金』の合計額が、障害等級に応じて定められている額を超えていない時に、その差額を支給する保険給付です。

受給できる遺族の順位が決まっており、その一番上位の者だけが受給できます。

労災保険・障害補償年金差額一時金とは?

仕事中・通勤中のケガや病気が治った場合で、1級から7級の障害が残ると『障害補償年金』の支給を受けられ、請求すれば『障害補償年金前払一時金』として、最初にまとまったお金を受け取れます。

一時金の支給を受けるか否かは本人の意思次第ですが、一時金の支給をを受けると利子が必要となるため、それを嫌い、人によっては年金として安定した受給を望むでしょう。

しかし、もし、この2人が亡くなった場合、受給権が消滅するため、一時金の支給を受けず早くに亡くなった人は損するという問題があるのです。

そこで、『障害補償年金差額一時金』を支給することにより、すべての人が平等になるようになっています。

とは言え、『障害補償年金差額一時金』は、名前に「障害」が入っていますが亡くなった後に支給される保険給付であるため、障害者が自ら使えないということは理解しておきましょう。

業務災害が『障害補償年金差額一時金』で、通勤災害が『障害年金差額一時金』です。

障害補償年金差額一時金の支給額

『障害補償年金差額一時金』の支給額は、障害等級に応じて次のとおりで、すでに支給を受けた『障害補償年金と障害補償年金前払一時金』の金額を差し引いた額が支給されます。

支給額 = 障害補償年金差額一時金 – 受給済みの障害補償年金と前払一時金の合計額

お気付きの方もいるでしょうが、『障害補償年金前払一時金』の最高限度額と同じ額になっており、こうすることですべての人が平等になります。

支給額は、給付基礎日額の何日分という形です。

第1級1340日分
第2級1190日分
第3級1050日分
第4級920日分
第5級790日分
第6級670日分
第7級560日分

給付基礎日額の計算方法
怪我をし、病気に罹ったことが確定した日以前3ヶ月間の
賃金の総額 / 総日数 = 給付基礎日額

ただし、賃金総額と総日数から控除する賃金・期間があります。

障害特別年金差額一時金の支給額

『障害補償年金差額一時金』と一緒に、労働福祉事業として『障害特別年金差額一時金』が支給されます。

通勤災害の『障害年金差額一時金』でも支給されます。

『障害特別年金差額一時金』の支給額は、障害等級に応じて次のとおりで、すでに支給を受けた『障害特別年金』の金額を差し引いた額が支給されます。

支給額 = 障害特別年金差額一時金 – 受給済みの障害特別年金の総額

支給額は、算定基礎日額の何日分という形です。

第1級算定基礎日額の1340日分
第2級算定基礎日額の1190日分
第3級算定基礎日額の1050日分
第4級算定基礎日額の920日分
第5級算定基礎日額の790日分
第6級算定基礎日額の670日分
第7級算定基礎日額の560日分

算定基礎年額の計算方法
被災日以前1年間に支払われた特別給与(ボーナス)の総額。入社から1年経っていない時は、それまでに支給された特別給与の総額。

ただし、上記の額が次の1、2を超える場合は、1、2のいずれか低い方の額とする。

  1. 給付基礎日額 × 365 × 20%
  2. 150万円

算定基礎日額の計算方法
算定基礎年額 / 365 = 算定基礎日額 ※1円未満の端数は1円に切り上げ

障害補償年金差額一時金を受給できる遺族の順位・欠格・転給

『障害補償年金差額一時金・障害特別年金差額一時金』を受給できるのは遺族だけであり、その順位は次のとおりです。

受給権者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた
(1)配偶者、(2)子、(3)父母、(4)孫、(5)祖父母、(6)兄弟姉妹

受給権者の死亡の当時その者と生計を同じくしていなかった
(7)配偶者、(8)子、(9)父母、(10)孫、(11)祖父母、(12)兄弟姉妹

この中で実際に受給できるのは、一番上位者のみであり、その順位の者が複数いる場合は、1人が代表で請求・受領後、責任をもって分配することになります。

一時金として支給されるので、『遺族補償年金』のように転給はありません。

当然ですが、『障害補償年金』の受給権者の命を故意に奪った者は欠格し、『障害補償年金差額一時金』を受給できなくなります。


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