遺族補償一時金・支給要件や時効、相続税・税金は?
労災保険の『遺族補償一時金』とは、『遺族補償年金』の受給資格者がいない場合に支給される保険給付です。
ただし、今までに『遺族補償年金』の受給権者いた場合でも、すべての者が失権した時点で、受給額が一定額以下であれば支給されます。
労災保険・遺族補償一時金とは?
労災保険の『遺族補償年金』は、年金として年6回に分けて支給されるのが基本ですが、受給権者が希望すれば1回に限り、『遺族補償年金前払一時金』として、一定額の前払いを受けられます。
しかし、最初から受給資格者がいない場合は、『遺族補償年金』を1円も支給されないというデメリットがあるのです。
また、受給権者がいても、すべての者が早めに失権してしまったら、『遺族補償年金前払一時金』を受けた人よりも損してしまいます。
そこで、すべての人の条件を平等にするために、一定額まで『遺族補償一時金』を支給することになっています。
業務災害が『遺族補償一時金』で、通勤災害が『遺族一時金』です。
なお、最初から『遺族補償年金』の受給資格者がいない場合は、遺族特別支給金も同時に支給されます。
遺族補償一時金の支給額
『遺族補償一時金』の支給額は、労働者の死亡の当時、遺族補償年金の受給資格者がいない場合に、給付基礎日額の1,000日分が支給されます。
また、すべての受給資格者が失権した時点において、受給済みの『遺族補償年金』と『遺族補償年金前払一時金』の合計額が、給付基礎日額の1,000日分以下の場合にもその差額が支給されます。
遺族補償一時金 = 給付基礎日額の1,000日分 – 受給済みの遺族補償年金と一時金の合計額
給付基礎日額の計算方法
怪我をし、病気に罹ったことが確定した日以前3ヶ月間の
賃金の総額 / 総日数 = 給付基礎日額
ただし、賃金総額と総日数から控除する賃金・期間があります。
遺族特別一時金の支給額
『遺族特別一時金』の支給額は、労働者の死亡の当時、『遺族補償年金』の受給権者がいない場合に、算定基礎日額の1,000日分が支給されます。
すべての受給権者が失権した場合において、今までに支給された『遺族特別年金』が算定基礎日額の1,000日分以下であれば、その差額が支給されます。
遺族特別一時金 = 算定基礎日額1,000日分 – 受給済みの遺族特別年金の総額
算定基礎年額の計算方法
被災日以前1年間に支払われた特別給与(ボーナス)の総額。入社から1年経っていない時は、それまでに支給された特別給与の総額。
ただし、上記の額が次の1、2を超える場合は、1、2のいずれか低い方の額とする。
- 給付基礎日額 × 365 × 20%
- 150万円
算定基礎日額の計算方法
算定基礎年額 / 365 = 算定基礎日額 ※1円未満の端数は1円に切り上げ
遺族補償一時金の支給要件と受給順位
『遺族補償一時金』の支給要件と受給条件は、次のとおりです。
- 配偶者
- 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫、祖父母
- 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していない子、父母、孫、祖父母
- 兄弟姉妹
『遺族補償一時金』の受給資格は、労働者の死亡の当時の身分によって判断します。
したがって、例えば、すべての兄弟姉妹が失権した場合において、再婚した元配偶者に支給されることもあるのです。
一時金で支給されるため、転給は関係なく、受給権者が複数いる場合は、代表者1人が申請・受領後に分配します。
なお、『遺族補償年金』の受給資格者または受給資格者となるべき者を故意に死亡させた場合は、受給資格者から外れます。
遺族補償一時金の時効
『遺族補償一時金』の受給権は、労働者が死亡した日の翌日から起算して5年経つと時効により消滅します。
「めんどくさい」と先送りにせず、早めに手続きすることが必要です。
遺族補償一時金と税金(相続税・所得税)の関係
『遺族補償一時金』と『遺族補償一時金』は、結構な金額になります。
そこで、税金が掛かるか否か疑問に思う人は多いでしょう。
支給される額が多い分、税金も多くなるので、心配になって当然です。
結論は、労災保険給付に相続税・所得税などの税金は一切課税されません。
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