健康保険・埋葬料とは?支給額と添付書類、相続税非課税
『埋葬料』とは、健康保険・共済組合制度の加入者が亡くなった場合において、埋葬を行う者に支給される保険給付です。
家族を亡くして辛い状況で手続きしなければなりませんが、しっかり手続きして受給しましょう。
健康保険・埋葬料とは?
健康保険・共済組合制度では、被保険者や被扶養者が私傷病により亡くなった場合、その人の埋葬を行う者に対して保険給付を行うことになっています。
これが、『埋葬料・埋葬費・家族埋葬料』です。
自営業者等が加入している国民健康保険では、『葬祭費』という名前で、条例・規約で定めれば行える法定任意給付になっているため、自治体のサイトで確認するか市区町村役場にお尋ねください。
「お住まいの地域 葬祭費」で検索すると見つけやすいと思います。
埋葬料の支給要件・支給額(健保・共済)
健康保険・共済組合制度では、「誰が亡くなったか?」と「埋葬料を受け取れる人の有無」によって、『埋葬料・埋葬費・家族埋葬料』の3種類に分類されており、支給要件・支給額が異なります。
微妙な違いなので、注意してください。
被保険者が亡くなった場合において、この被保険者により生計を維持していた者であって、埋葬を行う者に支給されます。生計の一部でも維持していれば良く、家族や親戚、同一世帯である必要はありません。
被保険者が亡くなった場合において、『埋葬料』の支給を受ける者がいない時に、実際に埋葬を行った者に対して支給されます。例えば、親族がいなくて会社が社葬を行った場合は、会社に支給されます。5万円以内の実費なので、埋葬後に請求しなければなりません。
被扶養者が亡くなった場合に、被保険者に支給されます。
葬祭費の支給要件・支給額(国保)
国民健康保険は、『葬祭費』の名で、ほとんどの自治体が支給しているはずですが、絶対ではないため、あらかじめ確認してから手続きしましょう。
なお、国保には被扶養者という概念はありません。
例えば、自営業者もその妻も、そして、その子供も同じ加入者です。
加入者が亡くなった場合に、葬儀を行った者に支給されます。支給額は自治体によって異なります。
埋葬料支給申請書と添付書類
『埋葬料』の支給を受けるには、事業主の証明を受けた『埋葬料(費)支給申請書』を保険者(健康保険組合・年金事務所・共済組合)に提出してください。
次の添付書類が必要です。
健康保険・共済組合制度
- 事業主の証明を受けられない場合、『埋葬許可証・火葬許可証・死亡診断書・死体検案書・検視調書・死亡者の戸籍(除籍)謄(抄)本・住民票の写し』いずれかのコピー1枚
- 『埋葬料』の場合は、預貯金通帳や現金書留の封筒など『生計維持を確認できる書類』
- 『埋葬費』の場合は、『埋葬に要した領収書』など
- 交通事故など第三者の行為により亡くなった場合は、『第三者の行為による傷病届』
国保の場合は、『葬祭費支給申請書』を市区町村役場に提出してください。
手続きには、次の物が必要です。
国民健康保険
- 手続きをされる方の『身元確認書類』
- 亡くなられた方の『国民健康保険証』
- 亡くなられた方の『マイナンバーカード(個人番号カード)または通知カード』
- 領収書など『葬祭を行ったことを確認できる書類』
- 喪主の方名義の『預金通帳・貯金通帳』
- 認印
退職後に埋葬料の支給を受けるための条件
次の条件のいずれか1つを満たせば、退職後に亡くなった場合でも『埋葬料・埋葬費』が支給されます。
ただし、『家族埋葬料』は支給されません。
- 被保険者の資格を喪失してから3ヶ月以内になくなったとき
- 会社を辞めた後、傷病手当金または出産手当金の継続給付を受給中に亡くなったとき
- 上記2の継続給付を受けなくなってから3ヶ月以内に亡くなったとき
埋葬料は相続税非課税
人が亡くなった場合、相続の問題が発生します。
その時、『埋葬料』などに相続税が掛かるか否か疑問に思う方もいるでしょう。
この疑問を解決する手段として、健康保険法や国民健康保険法などに定められている次の条文に注目してください。
租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。
つまり、保険給付はその金額を問わず、非課税なのです。
したがって、『埋葬料』なども相続財産ではなく、税金は掛かりません。
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