退職証明書の退職理由と発行期間は?もらえない時の対処法
企業によっては、採用試験時に、退職証明書を請求する場合があります。
そのため、労働基準法でも次のように定め、前職の会社に退職証明書を交付することを義務付けています。
退職時等の証明(労働基準法22条)
労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金または退職の事由(解雇の場合はその理由を含む)について証明書を請求した場合においては、使用者は遅滞なくこれを交付しなければならない。
退職証明書の記載事項
退職証明書に必要な事項は、次の5つです。
- 使用期間
- 業務の種類
- その事業における地位
- 賃金
- 退職の事由(解雇の場合はその理由を含む)
ただし、労働者が請求しない事項を記入してはならないことになっており、例えば、労働者が解雇の事実のみの証明を求めている時は、解雇の理由を記入してはいけません。
ブラックリストの禁止
使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分、そして労働組合運動に関する通信をし、または退職証明書に秘密の記号を記入してはいけません。
前職の会社の使用者は、労働者の転職を邪魔してはいけないのです。
ただし、問い合わせがあった時に回答することは、あらかじめ計画的に転職を邪魔しているわけではないので、この条文に抵触しません。
退職証明書の発行期間は2年間
労働基準法の時効は、退職手当が5年で、それ以外は2年となっています。
したがって、会社を辞めてから2年を経過すると、前職の会社に退職証明書の交付義務はなくなってしまうのです。
今必要でなくても、発行期間の2年以内に、退職証明書をあらかじめもらっておくことも一つの手でしょう。
退職証明書の利用目的
退職証明書の利用目的は、次の2つです。
- 国民年金、国民健康保険、失業保険(雇用保険の基本手当)の手続きに使用する
- 転職先の企業が、「退職しているかの確認」「履歴書や職務経歴書の記載が正しいか確認」「退職の理由を確認」に使用する
1についてですが、通常は離職票を使用しますが、発行するまでに少し時間がかかることがあるので、すぐに発行してもらえる退職証明書で、迅速に手続きすることができます。
そして、転職先の会社から退職証明書を求められたときは、2の目的で使用されています。
退職証明書を発行してもらえない時の対処法
退職証明書の発行は、労働基準法22条に定められているので、退職日から2年以内に労働者が請求した場合、会社は遅滞なく発行しなければなりません。
2年以後も請求はできますが、応じるか否かは会社次第となります。
問題は、2年以内にもかかわらず退職証明書を発行してもらえない場合です。
あまりないとは思いますが、この場合、会社に「2年以内であれば退職証明書の発行は義務である」「退職証明書の発行を拒否したり、わざと遅れさせると、30万円以下の罰金になる」ことを告げれば、すぐに発行してくれるでしょう。
それでも応じない場合は、会社の地域の労働基準監督署に相談してください。
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