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労働者を解雇できるが濫用は不可!基本、解雇予告が必要


解雇

労働関係の終了には、任意退職、定年退職、契約期間終了、労働者が亡くなる、解雇などがありますが、労働者は自由に退職でき、使用者は自由に解雇することができます。

しかし、使用者が労働者を自由に解雇できると、突然クビにされた労働者は生活できず困ってしまうため、次のように各法律で制限されています。

民法
所定の手続きにより自由に解雇できる。

労働契約法、最高裁判例
解雇権の濫用は無効である。

労働基準法
解雇制限と解雇予告を定める。

これら3つの法律が相互に働くため、解雇はできるけど濫用の場合は無効となり、正当な理由で解雇する場合にも解雇予告が必要です。

解雇制限期間は基本的にクビにできない

次の2つの期間については、原則として労働者を解雇できません。

  • 業務上の負傷・疾病による療養のために休業する期間とその後30日間
  • 産前産後の女性が、労働基準法65条の規定により休業する期間とその後30日間

ここで問題なのが、期間の定めのある労働契約を結んでいる労働者(有期契約労働者)ですが、仕事でケガや病気を負っても、解雇制限期間はなく、契約期間満了で終了することになっています。

そして、上記を見て社会的に問題となっている育児・介護が含まれていないことに疑問を感じた方がいるかもしれませんが、これらについては、育児・介護休業法で、「育児休業又は介護休業の申出をし、又はこれらの休業をしたことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけない。」と定められているので安心してください。

解雇制限期間中でも解雇できる場合

上記に示した解雇制限期間は労働者を解雇できませんが、次のいずれかの条件を満たせば、その例外として解雇することが可能です。

  • 療養開始後3年を経過し、平均賃金の1,200日分以上の打切補償を支払う場合。ただし、療養開始後3年を経過し、労災保険の傷病補償年金を受けることになった場合は、打切補償を支払ったものとみなされます
  • 地震や火災などの天災事変その他やむを得ない事由のために事業が継続できなくなった場合。ただし、事業主に故意や重過失があったり、経営難の場合は認められません

労働者をクビにするときは解雇予告が必要

解雇制限期間でなければ労働者を解雇することができますが、30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。

この時、平均賃金の算定時由発生日は、「労働者に解雇を告げた日」となります。

なお、15日前に予告して、15日分の平均賃金を支払うというように、両方を併用して30日以上にすることも可能です。

解雇予告が必要ない場合

次のいずれかに該当して、所轄労働基準監督署長の認定を受ければ、解雇予告なしに、労働者を即時に解雇できます。

判断を会社に任せると解雇権の濫用につながるため、労基署が正当な解雇か否かをしっかり判断しているのです。

  • 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
  • 労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇される場合

労働者に責任のある解雇とは、注意しても遅刻を繰り返し、そのうち、無断欠勤をするようになった場合などです。

雇用期間の延長で解雇予告が必要となるケース

「日雇、2ヶ月以内、季節的業務に4ヶ月以内、試用期間」の4つで雇用される者には、解雇予告が必要ありません。

ただし、それぞれの雇用期間が次のように延長された場合には、解雇予告が必要となります。

日雇労働者
1ヶ月を超えて引き続き雇用される場合
2ヶ月以内の期間を定めて雇用される労働者
所定の期間を超えて引き続き雇用される場合
季節的業務に4ヶ月以内の期間を定めて雇用される労働者
所定の期間を超えて引き続き雇用される場合
試用期間中の者
14日を超えて引き続き雇用される場合

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